こんな文章で演劇を作ったらどんなだろう。
(ショートヘアの女の子がすっくと立ち上がり、喋る。)
夕ぐれのまえの、ちょっとまだ空がそまらないくらいの時間、雲のりんかくが、うっと浮かび上がるくらいのとき、その空を、自転車でしゃーーと駆け抜けながら首を上に折って、ずっとずっと目を見開いて、そうやって眺めるのがとても好きだ。
雲の色がまぶたの裏というか、脳みその上というか、ここ、前頭葉と、頭蓋骨との隙間のところ、おでこの裏側に、雲の色が、ぐわんと入り込んでくるあの感じが好きだ。胸のリズムがおかしくなって、息がふっと消えて、すごく私はただ目を見開いている。
雲の色にはどうしても音がくっついてくる。ぐわーーんというか、きーーーーんというか、耳鳴りのような雰囲気で色に音がある。そういうのはいわゆる印象でしかないので、音にはならないのだけれど、でも、それを音として私は感じている気分がしてならない。
………。
自転車が好きなので、車校に行くのにわざわざ25分ばかしかけて漕いで行く。その道の最後の辺りで、田んぼの道にすっと入る。すると、そうすると、突然にさっと視界が開けて、草の香り、田んぼの香りがして、すこし田んぼの空気の水気で真夏の温度が冷えて、空が目の前いっぱいに広がる。いっぱいに。
いっぱい、いっぱいになる。
息を、ぐっと閉じて、目を、わっと開いて、おでこの裏側の脳みそのプールの隙間に、ずっ。と雲の色を滑り込ませる。その映像のはじっこ、すみっこはA4のコピー用紙みたいな、すっとした直線、曲線の薄さで、耳鳴りの音をさせながら頭蓋の隙間にすべりこむ。無理やりに。
そんな気分がする。そういう気分が。
つたない言葉だから、つたえられないかもしれない。
けれど、私は、あなたのこと、あなたを好きなので。
そうです、なので、私は、すこし、私について、おしゃべりしたいと思った。思いました。
そういうわけです。そういうわけでした。
(以上、ついったのつぶやき+おまけ)